どんな人が、どんな場面で連帯保証人になるのか?

(文: 吉田猫次郎)


連帯保証人になったことのないあなた。 あなたにとっても他人事ではありません。

ここでは、どんな人が、どんな場面で連帯保証人になってしまうのか、思いつく限り取り上げてみましょう。

@ 賃貸住宅の保証人になった人

 これが一番多いでしょう。我が国の世帯数は約4700万世帯。そのうち、借家に住んでいるのは約1700万世帯です(参考資料=総務省統計局)。 そして、皆さんも覚えがあると思いますが、エイブルのワンルームマンションや旧都市公団など一部の例外を除き、ほとんどが賃貸借契約の時に「連帯保証人」を求めますね。 保証人でも身元保証人でもなく、連帯保証人を。 「頼む、引っ越すから保証人になってくれ・・・」と友人に頼まれることも多いんじゃないでしょうか。 尚、賃貸借契約そのものは大抵2年おきの更新ですが、連帯保証人から特に申し出がないかぎり、契約更新されても連帯保証の効力はそのまま生き続けるという最高裁判例がありますので注意してください。 「ワシは20年前に友人の賃貸ビルの保証人になっとったわい、すっかり忘れとった」 なんていう場合もありますので。

A 中小企業・零細企業・自営業の借入金の保証人になった人

 我が国の企業のほとんど(数としては全体の99%位)が、中小企業です。 小さな企業になればなるほど、信用力が落ちます。また小さな企業になればなるほど、持っている財産も少なく、資金的に余裕がありません。 そんな逆境と戦いながら成長を目指すには、やはり資金調達が必要です。 しかし、我が国では、米国のように直接金融(投資など)は盛んではないので、資金調達といえば多くの場合、間接金融(借りること)を意味します。 そしてその借入は、金額にもよりますが、担保が必要となります。 担保とは何か? 「保証を担う」と書いて担保と書きますがまさしくそのとおりで、あるときは不動産を担保に、またあるときは保証人という人的担保を差し出すことになります。 こうやって中小零細企業は資金調達しているのです。発展を目指して。

 ここでいう保証人もまた、なぜか連帯保証人ばかりです。 銀行に「連帯保証人は嫌だ。ただの保証人ならなってもいい」という抵抗をした人を私は見たことがありません。 みんな、当たり前のごとく、最初から「連帯保証人」欄が印字してある契約書にハンコを押しています。 

 『中小企業白書2004』によると、従業員20人以下の企業がメインバンクに個人保証を提供している割合は、実に88%だそうです。 個人保証とはもちろん連帯保証がほとんどでしょう。 代表者個人が連帯保証しているだけならまだ良いですが、中には代表者個人が連帯根保証していたり、2004年以前なら包括連帯根保証をしていたり、または社長以外の第三者を連帯保証人に立てている場合も少なくありません。

B 住宅ローンの保証人になった人

 住宅ローンの連帯保証人になった人はそう多くないと思われています。ところがとんでもない。

 大企業のサラリーマンが頭金をたっぷり積んで住宅ローンを組むのなら、大抵は連帯保証人ナシで組めるでしょう。 しかし、頭金が少なくてローン依存率が高い場合や、年収がそれほど高くない場合、信用度の低い中小企業に勤めていて勤続年数が短い場合、自営業の場合などは、連帯保証人や連帯債務者を取られる場合が少なくありません。 たとえそれが住宅金融公庫であっても、です。 よくあるのは奥さんが連帯債務者になるケースですね。 連帯債務は連帯保証と違い、文字どおり「保証」という位置付けではなく「自分の債務」として位置付けられています。 最初から一緒に返すことを前提としているわけですね。 一緒に返すのだから、審査時も夫婦の収入を合算できます。 すると、トータルの年収が高くなり、住宅ローンの審査も通りやすくなるわけです。 そこまでしてマイホームを欲しがる夫婦も多いですね。非常に。特に最近は。

C 相続人 (これが一番コワイ。いくら危機管理しても防げない)

 身内が亡くなった時、プラスの財産だけ相続できる人は幸せです。 法律上、相続はプラスもマイナスも相続されてしまうんです。 被相続人(亡くなった身内)がもし何らかの債務を抱えていれば、その債務も相続されます。 債務といっても借金ばかりではありません。飲み屋ののツケも債務。連帯保証も債務。商売の仕入買掛金も債務です。それらすべて、相続人にキチンと相続されるのです。

 しかもこのマイナス財産の相続は、遺産分割協議書などで取り決めることができません。法定相続人に相続されるのです。じゅうぶん気をつけてください。

 亡くなったおじいちゃんから、土地と建物を相続した。ところがある日、全く身に覚えのない金融機関からウン千万円払えとの内容証明が来た。よく読むと、どうやらおじいしゃんは誰かの連帯保証人になっていたらしく、借主(主債務者)は最近倒産したらしい。 それで「連帯保証人のそのまた相続人」である私のところに請求が来たのだ・・・ と、こういう悲劇は本当に多いです。 ご本人がいくら危機管理を徹底していても、突然ふりかかってくることがあります。

(以下、イラストでイメージしてみてください・・・)


D (番外編1) 保証人になれない人

 制限行為能力者は保証人にはなれません。たとえば、未成年者や、成年被後見人、被保佐人など(昔は禁治産者とか無能力者などと呼ばれていた)は、保証人になることができません。なっても無効です。

E (番外編2) 我が国の連帯保証人人口はどのくらい?

 2000万人以上はいると思われます。その根拠については新刊本『連帯保証人』に詳述しましたので、興味ある方は読んでみてください。 調べてみると、なかなか興味深いことに気付きます。 ちゃんとした統計が存在しないこととか。

F (番外編3) 連帯保証人にハンコを押してしまいやすいタイプの人は?

 「いい人」。「他人のために尽くしてしまう人」。「責任能力のある人」。これに尽きます。 

 つきあいの悪い人やケチな人、自己中心な人、責任能力のない人などは、まずならない(or なれない)でしょう。

G (番外編4) 保証協会の連帯保証人になった人?

 準備中。暇なときに更新します。


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