勝訴事例


・平成17年8月10日東京高裁判決

      「平成17年(ネ)第144号保証債務履行請求控訴事件」   

 債務者が破綻状態にあることを知らないで締結した連帯保証契約を無効とする判決です。
 裁判官は経験から「破綻状態の債務者のために保証人になろうとする者はいない」との理由を示しています。
 まったくもって世間の常識を反映した判決が、やっと、やっと、やっと出ました。ちなみに、今までは「債務者の経営状態を知らないで連帯保証契約した保証人が悪い」との内容の判決ばかりでした。
 詳しくは、雑誌「判例タイムス1194号」、「金融・商事判例1226号」を見てください。法律関係では有名な雑誌なので、大きな図書館には置いてあると思います。また、近くの国公立大学図書館や私立大学図書館にもありますので、ぜひ見て下さい

※提訴の背景

 金融機関は、被告である連帯保証人に勝てると見込んで司法に訴えた訳です。当然、金融機関である自分達は「正しい」よって「法令順守しているのは自分達だ」とうかがえます。ここで言う「正しい」とは、連帯保証制度や債務者の財務状況を説明せずに契約した事です。
 我々一般市民が考える企業のコンプライアンス(法令順守)とは、法律を守る事は当然として、それ以上に「企業は市民が安心して暮らせる社会に貢献する」みたいなイメージを持っています。
 ところが、現実は全く違っていて金融機関のコンプライアンスとは、単純明快で、
「裁判に負けないこと」
なんですね。今回の事例にて金融機関は「市民である連帯保証人が資産を無くして不幸になったって構わない。自分達が儲かりさえすれば良い」との考えを持っていることが良く判りました。

 だから、これからも連帯保証人の錯誤(かん違い)や無知につけ込み、金融機関の収益向上のため色々なトラップを仕掛けてくることが予測されます。なにしろ、自分達の責任をないがしろにしても「裁判で勝てば、コンプライアンス」なのですから。

(文:結城)


・ 空クレジットの連帯保証請求、保証人が逆転勝訴 (02年7月11日最高裁判決)

勤務先会社が機械をクレジットで購入した。そのとき社員が連帯保証人になった。その後、会社は倒産し、のちに機械購入が虚偽でいわゆる「空ローン」であったことが判明。クレジット会社は社員に連帯保証として弁済を求めて提訴した。はたして社員の連帯保証契約は有効か無効か?

以下、判示内容の一部抜粋。

「購入契約が存在しないと知らないまま契約した連帯保証は、錯誤があり無効」

「保証契約は,特定の主債務を保証する契約であるから,主債務がいかなるものであるかは,保証契約の重要な内容である。そして,主債務が,商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には,商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから,商品売買契約の成否は,原則として,保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」

「これを本件についてみると,上記の事実関係によれば,(2) 本件立替払契約はいわゆる空クレジット契約であって,本件機械の売買契約は存在せず,(3) 上告人は,本件保証契約を締結した際,そのことを知らなかった,というのであるから,本件保証契約における上告人の意思表示は法律行為の要素に錯誤があったものというべきである。」

「本件立替払契約のようなクレジット契約が,その経済的な実質は金融上の便宜を供与するにあるということは,原判決の指摘するとおりである。しかし,主たる債務が実体のある正規のクレジット契約によるものである場合と,空クレジットを利用することによって不正常な形で金融の便益を得るものである場合とで,主債務者の信用に実際上差があることは否定できず,保証人にとって,主債務がどちらの態様のものであるかにより,その負うべきリスクが異なってくるはずであり,看過し得ない重要な相違があるといわざるをえない。まして,前記のように,1通の本件契約書上に本件立替払契約と本件保証契約が併せ記載されている本件においては,連帯保証人である上告人は,主債務者であるエクシングが本件機械を買い受けて被上告人に対し分割金を支払う態様の正規の立替払契約であることを当然の前提とし,これを本件保証契約の内容として意思表示をしたものであることは,一層明確であるといわなければならない。」 

(吉田)


・ 和歌山地裁田辺支部 平成9年11月25日判決(出典:判例時報 1656号129ページ))

県の信用保証協会が、主債務者が7年かけて破産手続きを終結した後、連帯保証人(包括保証ではない)に対して時効寸前になってから求償権請求訴訟を申立てた事案。裁判所はこれを、権利の濫用であるとして退けた。 包括保証ではない一般的な連帯保証が権利濫用として退けられた判例は極めて珍しい。

(吉田)