金融機関について

(文: 結城 流星)


 なりたくて連帯保証人になった人は、いません。債務者が「絶対に迷惑はかけないからと」頼みに来るから、困っている人を助けようとして連帯保証人になってしまうのです。かつ、連帯保証人になる人は、連帯保証の責任の重さを知りません。名前を貸すぐらいだろうと、ほとんど100%の人が考えています。連帯保証人の恐ろしさを経験して知っている人は、絶対に連帯保証人になったりしません。

 上記は金融機関と直接関係の無い話です。ところが、上に書いてあるとおり連帯保証人の無知を金融機関は熟知して連帯保証人との契約に乗り出してきます。普通の人は金融機関から一括支払い請求を受けるまで気が付かないことなのですが、連帯保証契約とは金融機関と連帯保証人との契約です。つまり、契約において重要な役割を演じた債務者は、第三者なのです。第三者の「絶対に迷惑をかけない」と言うウソを信じて連帯保証契約したとしても、連帯保証契約は無効にならないのが現実であり、判例です。あとで、債務者に損害賠償請求したとこで、債務者はすでに一文無しになっていますので、債務者から取れるものはありません。騙され損ですね。
 
 「貸して」のプロである金融機関は、債務者が連れてくる無知な連帯保証人を最大限利用します。具体的には、金融機関は契約の当事者であるにもかかわらず、連帯保証契約書の中身、債務者の経営状態を連帯保証人へ説明しないなど、金融機関では普通の事です。はっきりいって、連帯保証契約の中身や債務者の経営状態は連帯保証人へ知らせたくないのです。知らせたことにより契約に至らなかったら、収益向上につながりませんので。

 過去の事例から、金融機関は債務者の返済能力以上のお金を貸し付け、連帯保証人から元本の回収、債務者から最大限の金利支払いを受けようとします。つまり、初めから連帯保証人から元本は回収する狙いなのです。例え債務者が実質破綻していたとしても、元本の回収がはかれ、金利で儲けられるからお金を貸し出すのです。

 通常、保証とは何か不測の事態があったときに行われるものです。ところが、金融機関は最初から債務者が経営破綻状態(連帯保証人から見れば不測の事態)である事を知りながらも、その事実を知らせずに連帯保証契約に導きます。これは信義則に反し、詐欺ではないでしょうか。